暗記不要!気体の捕集法の判断法

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無機化学の項目の一つに気体の性質というのがあります。

この項目、入試ではひとつの項目かのように出題されるのにもかかわらず教科書ではバラバラに扱われるので整理しにくいんですよね。

特に気体の捕集法はてでくる気体の種類が多くて暗記が大変。

でも実は一つ一つ覚えなくてもその場で判断できる方法があります!

今回は気体の捕集法の判別法について解説します!

できれば水上置換法で捕集したい

化学反応で発生した気体は可能なら水上置換で捕集するのが理想です。

なぜなら、水上置換が一番捕集効率がいいからです。

気体は空気も含めて拡散してしまいますから、上方置換や下方置換だと捕集した気体が拡散して逃げていってしまうんですね。

もちろん空気も拡散で入り込んでいってしまいますから、量的にも純度的にも効率の良い捕集ができないんです。

一方で水上置換ならこのような現象は起きませんから、できれば水上置換で捕集したいんです。

なぜ水上置換法で捕集しない気体があるのか?

ではなぜ水上置換法で捕集しない気体があるかというと簡単で、水に溶けるからできないというだけなんです。

気体を通したそばから水に溶け込まれると捕集なんてまったくできないわけです。

こういうのは水上置換できないのでしかたなく上方置換やら下方置換せざるをえないわけです。

つまり

水に溶けない=水上置換

水に溶ける=(しかたなく)上方置換か下方置換

で捕集することになるわけです。

上方置換法と下方置換法の判別

水に溶けない気体は水上置換法で捕集すればいいことがわかりました。

では水に溶ける気体は上方置換法と下方置換法どっちで捕集しましょう?

空気の重さと比べるといいです。

空気より重い気体は下に沈みますから、下方置換

空気より軽い気体は上に浮き上がりますから、上方置換

が適しています。

空気より重いか軽いかは分子量で判断できますから、

空気の平均分子量28.8と比べて、

大きい場合は下方置換

小さい場合は上方置換

で捕集するのが最適となります。

フローチャートで判別できる図を用意したので参考にしてください。

例題

次の気体は水上置換、上方置換、下方置換のどの方法で捕集するとよいか?

(1) 水素 (2) 塩化水素 (3) アンモニア

(4) 硫化鉄(Ⅱ)に希硫酸を作用させて発生する気体

【解答】

(1) 

 水素は水に溶けにくい気体です。ですので、水上置換で捕集することが可能です。

(2)

 塩化水素HClは水に溶けやすい気体です。ですので、分子量を調べて空気より重いか軽いかを判定しましょう。

 原子量は

 H:1.0 Cl:35.5なので、

 1.0+35.5=36.5

 で、塩化水素の分子量は空気の平均分子量28.8よりも大きいので、空気より重いことがわかります。

 したがって、下方置換が適しています。

(3)

 アンモニアNH3は水に溶けやすい気体です。ですので、分子量を調べて空気より重いか軽いかを判定しましょう。

 原子量は

 N:14 H:1.0なので、

 14+1.0×3=17

 で、アンモニアの分子量は空気の平均分子量28.8よりも小さいので、空気より軽いことがわかります。

 したがって、上方置換が適しています。

(4)

 まずは発生する気体が何かを考える必要がありますね。

 化学反応式を書くと、

 FeS + H2SO4 → H2S + FeSO4

 なので、発生する気体は硫化水素です。

 硫化水素は水に溶けるので、分子量を調べます。

 原子量は

 H:1.0 S:32なので、

 1.0×2+32=34

 で、硫化水素の分子量は空気の平均分子量28.8よりも大きいので、空気より重いことがわかります。

 したがって、下方置換が適しています。

補足

・実際の入試問題では例題(4)のように反応から気体を推測させて、そのうえで捕集法を答えさせる問題が頻出です。

そのため捕集法だけでなく、気体の発生の反応式は別で覚える必要があります。

・実は高校化学の範囲で上方置換で捕集するのはアンモニアだけです。

どうしてもわからないことがあったら、上方置換以外のどちらかを書くとすこしだけまぐれ当たりの確率が上がります。

というわけで気体の捕集法の判別法を解説しました。

この方法を使って暗記量を減らしてみましょう!

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