ケーリー・ハミルトンの定理
2×2の行列
$$A= \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} $$
について、以下の等式が成り立ちます。
$$A^2-(a+d)A+(ad-bc)E=O$$
ケーリー・ハミルトンの定理は3×3以上の一般の正方行列についても存在しますが、高校数学では3×3以上の行列はあんまり扱わないので、上記の2×2の行列の特別な場合だけをケーリー・ハミルトンの定理とよぶことがおおいです。
一般のケーリー・ハミルトンの定理を証明するのは難しい(大学数学レベル)ですが、2×2の場合だけならただ代入して計算するだけで確認できます。
ケーリー・ハミルトンを使う例題
例題
$$A= \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} のときA^3を求めよ。$$
解答
ケーリー・ハミルトンの定理より、
$$A^2-2A-E=O$$
$$A^2=2A+E$$
よって、
$$A^3=A^2・A$$
$$=(2A+E)A$$
$$=2A^2+A$$
$$=2(2A+E)+A$$
$$=5A+2E$$
$$=5\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 1 & 1 \end{pmatrix}+ 2\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} $$
$$= \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 10 & 7 \end{pmatrix} $$
このように、ケーリー・ハミルトンの定理を用いると行列のn乗の複雑になる計算を簡単に処理することができるようになります。
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