全体分析
理論分野の問題が増加したが第1日程ほど増加したわけではなく、無機化学・無機化学の問題もさほど減少したわけではない。
形式的には第1日程と同様で、第5問に実験をテーマにした総合問題が出題された。
第5問以外にも実験問題が出題され、第1日程と比べてさらに増加することになり難易度の高い出題も増えた。
選択問題は第1日程に続き択数の少ないものが多く配慮はされている。
平均点の中間集計は2月3日時点で39.26点となっており、51点程度とされる第1日程に比べさらに数段難しい試験といえる。
第1問
理論化学前半の内容。
第1日程で無機化学と融合した出題となった問1だったが、第2日程では有機化学との融合となった。
クロマトグラフィーについては細かくは学習しないためクロマトグラフィーの実験問題は戸惑うだろう。
第1問設問別分析
問1.
2つの条件に適合する有機化合物を選択する問題。
共有電子対の数という視点で有機化合物を調べるのは真新しい。
問2.
連結球内で気体の状態方程式を用いた計算をする問題。
未知数が2つになっているが比を解答するためそのまま計算を進めればよい。
問3.
コロイドに関する文章の適語選択問題×3問
すべて正答しないといけない点で厳しい。
問4.
クロマトグラフィーに関する中問。
クロマトグラフィーについての理論は深くは学習しないため難しい。
a クロマトグラフィー実験の正誤問題。
吸着のしやすさと上昇距離を関連付けられたかがポイント。
b 反応の進行度合いをクロマトグラフィーで確認する実験問題。
反応結果とa問題の情報から考察を深める難問であった。
第2問
理論化学後半戦。
一部頻出テーマが含まれたが大半が思考力を試す難問で、時間のかかるものであった。
第2問設問別分析
問1.
鉄の腐食を防ぐ装置の問題。
片方は頻出内容でありわかりやすいがもう一つは電池に関して思考力が必要であった。
問2.
緩衝液の緩衝作用についての問題。
比較的頻出ではあるが、3問完答4点で解きにくい。
問3.
水素と窒素からアンモニアが生成する反応の、平衡に関して中問形式で問われた。
a エネルギー図をもとにN-H結合の結合エネルギーを計算する問題。
エネルギー図から適切に情報を抜き出して計算する。
b 文献調査のまとめ資料を読み取り反応について考察する問題。
実質3問完答形式で読み取りにくい出題もあり難易度は高い。
c 平衡状態で生成したアンモニアの物質量を計算する問題。
グラフから必要な情報を読み取り計算を行う必要がある。
第3問
無機化学。
実質理論化学だった第一日程とはうってかわってちゃんとした無機化学の問題が出題される。
ただし悩ましい選択肢あり、未知の計算問題ありでそれはそれで難易度は高い。
第3問設問別分析
問1.
金属元素と用途に関する選択問題。
ややマイナーな知識が混ざっているため消去法では悩むかもしれない。
問2.
混合物の組成を計算する問題。
片方だけが反応することがポイントで、センター試験自体から定番の内容である。
問3.
金属イオンの系統分離に関する問題。
この手の問題では見慣れない金属が混ざっているが、溶解性の情報があたえられているため表をもとに照らし合わせていけばよい。
問4.
二酸化硫黄を溶かした水溶液についての問題。
a 実験に使った試薬を特定する問題。
無機化合物についての知識を問われた。
b 電離平衡に関する問題。
平衡に関しては難易度高めではあるが定番である。
第4問
有機化合物・高分子化合物 。
有機化合物は一部悩む選択肢が含まれるものの頻出テーマが多く(第2日程の中では)解きやすい問題がおおい。
高分子化合物についても比較的解きやすい問題であった。
第4問設問別分析
問1.
アルデヒド、ケトンに関する選択問題。
正答選択肢自体が頻出で解きやすい。
問2.
ナトリウムと反応する異性体の数を答える問題。
この手の問題はセンター試験時代からの頻出項目である。
問3.
フェノール、サリチル酸をテーマにした中問。
a ベンゼンからフェノールを経由しサリチル酸を合成する経路の問題。
実質的には2択×3問の問題で、3問完答ではなく個別に得点が与えられる比較的親切な出題であった。
b 脱水によって生成するアルケンの異性体の種類の多いものを考える問題。
すべての選択肢を検討する必要があり手間がかかる。
問4.
付加重合で得られる高分子化合物の重合度を求める問題。
実は構造式上の未知原子団は計算にかかわらないことに気づけたかがポイント。
問5.
アミノ酸、タンパク質に関する選択問題。
正答は解釈次第で悩ましく感じるため消去法を効果的に使いたい。
第5問
入浴剤の物質組成を調べる実験をテーマにした総合問題であった。
第1日程でも出題された新傾向の数値を答えさせる問題がここで出題された。
また実験誤差について考察する問題が出題され、こちらは実験操作と理論を絡める難問であった。
第5問設問別分析
問1.炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの物質量を計算する問題であった。
a 実験結果から炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの物質量の関係式を求める問題。
化学反応式の量的関係から導く。
b 試料内の炭酸水素ナトリウムの質量を計算する問題。
新傾向の数値を答えさせる問題であった。
aで導いた関係式が必要となるため連動問題になっている。
問2.試料内のコハク酸の質量を求める問題。
a コハク酸の水溶液内の形についての問題。
水溶液のpHをもとに考える。
b コハク酸の質量を計算する問題。
与えられた情報から実質1段階反応として計算することが必要。
c 実験誤差を考える問題だった。
なぜ誤差が生じたのかを実験内容・理論から考察する難問だった。
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