この記事では希ガスの性質を解説します。
希ガスは比較的出題頻度が高いわりに覚えることが少なく、計算問題も多くはないので短い時間で得点源にできます。
希ガスの周期表での位置
希ガスは周期表情で18属に位置する元素です。
ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ラドン(Rn)があてはまります。
この中でも高校化学の範囲ではヘリウム、ネオン、アルゴンを覚えておけばよいでしょう。
希ガスは最外殻が閉殻になっています。
ヘリウムだけが最外殻電子が2つで、ヘリウム以外の希ガス原子は最外殻電子は8つです。
このため、イオン化エネルギーは非常に大きくなっています。
最外殻が閉殻なので、化学的に安定でほかの原子とはほとんど反応しません。
高校化学の範囲では希ガス化合物は一切出てこないので希ガスはまったく反応しないと覚えてしまって構いません。
希ガスの存在
希ガスは他の原子と反応しないので、天然には単原子分子として空気中に存在しています。
空気中における希ガスの単原子分子の割合は以下のようになっています。
とくに、アルゴンが空気中の割合で窒素、酸素についで3位であることはよく問われるので絶対に覚えておきましょう。
空気中に存在するので、純粋な希ガス分子は液体空気を分留して得ることができます。
希ガスの利用
ヘリウムの利用
ヘリウムは水素に次いで2番目に軽い気体で、浮力を得やすいので飛行船に利用されています。
最も軽い水素を利用しないのは、水素は反応性が高く爆発の危険があるからです。
ヘリウムは反応性がとても低いので爆発の心配はなく安全です。
ネオンの利用
ネオンは高圧・高電圧をかけると蛍光を発するので、ネオンサインに使われています。
練習問題
標準状態でヘリウムの密度を求め、空気の密度1.29g/Lと比較せよ。ヘリウムの原子量は4.0とする。
練習問題解答
標準状態での気体1molの体積は22.4Lでヘリウムの原子量は4.0で、
密度は質量を体積で割れば求められるので
(1mol×4.0)÷22.4L=0.179g/L
空気の密度1.29g/Lと比較すると、
1.29÷0.179=7.2となり、ヘリウムは空気の7.2倍軽いといえる。
コメント
コメント失礼します。練習問題に疑問です。途中式の単位間違ってないですか?私が何度計算しても合いません。正しくは1.0/mol×4.0g÷22.4L/mol もしくは4.0g/mol÷22.4L/molではないですか?私の回答が違うならその理由も教えてください。
こんにちは
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、1molあたりの体積なので22.4L/molが正しい単位です。
混乱させてしまい申し訳ありません、修正いたしました。
ありがとうございます。
あと重ねて申し訳ないんですが、単位どうしの計算をすると1molではなく1/molではないですか?mol÷L/mol=mol^2/Lになります。また、mol×g÷L/mol=mol^2×g/Lとなります。さらに、mol×g/mol÷L/mol=g×mol/Lとなり、いずれもg/Lの単位とはなりません。
私の挙げた1/molですがこれは一般的ではないためやはり通常の表記であるg/molとなるのではないでしょうか。g/mol÷L/mol=g/L
引き続きありがとうございます。
密度は質量を体積でわって求めるので、原子量に1molをかけて1molあたりの質量を出している以上22.4の単位はLとすべきでした。
そのように追記・修正しました。
原子量はg/molが単位と考えればうまくいきますが、もともと単位のないものなので単位なしで表記しています。
なるほど勉強になりました。これ程単位について学べる機会はなかったので。たしかに一般的に原子量は単位がないとされているそうです。検索してみると「原子量は相対値のため基本的には単位はありません。しかし、たまに[g/mol:モル質量]という単位が使われることもあります。原子量はそれが1mol集まれば何gになるか?を表しているからです。」納得しました。ありがとうございます。