以前の記事で有機化合物の構造決定問題を解くためには有機化合物の性質から部分構造を決定するのが大事だとお話ししました。
この記事では具体的に、有機化合物の性質からわかる部分構造をまとめました。
臭素水を脱色する=炭素間多重結合
臭素水を脱色するのは炭素間多重結合(二重結合か三重結合)をもつ有機化合物の特徴。
臭素が付加反応するからです。
塩素やフッ素でも付加反応はおきますが、色が消えるという目に分かりやすい変化から有機化合物の構造決定では臭素が圧倒的におおいですね。
不飽和度が0でないのに臭素水を脱水しない=炭素間多重結合をもたない
いってることは前項と同じような感じですが、この考え方も重要です。
不飽和度0でないにもかかわらず臭素水を脱水しない=炭素間多重結合がない
ということは、炭素間以外に多重結合があることが示唆されます。
水素は二重結合以上の結合にかかわらないので、実質的に炭素-酸素間二重結合があると考えることができます。
(たまに環状構造の場合があります。)
(炭素、酸素、水素以外の原子が含まれる場合はその原子も考慮する必要があります。さらにレアケースです。)
シス・トランス異性体をもつ=炭素間二重結合
シス・トランス異性体をもつといえば炭素-炭素間に二重結合がありますね!
二重結合を構成する2つの炭素に結合する残り2つの原子団が炭素ごとに異ならないとシス・トランス異性体はできません。
金属ナトリウムを加えると反応する=-OH
金属ナトリウムを加えると反応するのは-OH構造の特徴。
アルコール、フェノール性ヒドロキシ基の他カルボン酸-COOHにも-OH構造が含まれるので金属ナトリウムと反応します。
特にカルボン酸は漏らしがちなので注意。
フェーリング液を還元する=アルデヒド基
銀鏡反応を示す=アルデヒド基
フェーリング液の還元・銀鏡反応ともに還元性をもつ官能基の特徴です。
フェーリング液の還元・銀鏡反応がでてくればアルデヒド基が存在することが判明します。
炭酸水素ナトリウムを加えると発泡する=カルボン酸(とスルホン酸)
カルボン酸は炭酸よりも強い酸なので、炭酸水素ナトリウムを加えると発泡し二酸化炭素を発生します。
「炭酸水素ナトリウムを加えると発泡」を見ればすぐにカルボン酸の存在がわかります。
加水分解される=エステルかアミド結合
有機化合物が加水分解されれば、
- エステルが加水分解されて「アルコールとカルボン酸」
- アミド結合が加水分解されて「アミンとカルボン酸」
ができています。
分解された化合物にさらに実験を行ってエステルかアミドかを判別していくわけです。
従来の問題はエステルが圧倒的に多かったですが、学習指導要領が変更された2015年以降はアミドがでる問題も増えてきています。
塩化鉄(Ⅲ)で呈色する=フェノール類
塩化鉄で呈色するのはフェノール類。
化合物によって呈色する色が異なるものの、塩化鉄(Ⅲ)で呈色するとあれば一発でフェノール類と判断できます。
また、塩化鉄(Ⅲ)による呈色の色は物質ごとに異なりますが、細かい色までは覚えなくても構造決定ではそれほど困ることはありません。
光学異性体をもつ=不斉炭素原子をもつ
光学異性体をもつということは不斉炭素原子をもちそうです!
不斉炭素元素原子をもつという条件はかなり強い条件なので有機化合物の構造決定問題では頻出です。
不斉炭素原子をもつことを表す表現は色々あって、他に「偏光性をもつ」などがあります。
おすすめ問題集
有機化合物の構造決定問題はある程度問題をこなして慣れていくことも大事です。
専用の問題集を使って構造決定問題に慣れておくと本番でも安心です。
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