化学の酸化還元反応の分野で登場する酸化数の意味と酸化数の求め方を解説します。
酸化数の考え方
酸化数はある物質が反応の前後で酸化されているか還元されているかを調べるために導入されるものです。
反応の前後で酸化数が増加していればその物質は酸化されており、
反応の前後で酸化数が減少していればその物質は還元されています。
酸化数のルール
酸化数は原子ごとに、以下のような一定のルールに戻づいて計算します。
酸化数はローマ数字で表す慣例ですが、アラビア数字を用いてもよいことになっています。
- 単体の酸化数は0とする
- 化合物の酸化数は全体で0とする
- イオンの酸化数は全体でイオンの価数と同じとする
- 化合物内の水素の酸化数は+Ⅰとする
- 化合物内の酸素の酸化数は-Ⅱとする
- 例外:過酸化水素内の酸素の酸化数は-Ⅰとする
- 化合物内のハロゲンの酸化数は-Ⅰとする
例
塩素分子
塩素分子について、単体の酸化数は0とするため塩素の酸化数は0です。
一酸化炭素
一酸化炭素について、酸素はルール5より-Ⅱ,化合物内では全体で0になるルールなので炭素は+Ⅱです。
硫酸イオン
硫酸イオンについて、酸素はルール5により-Ⅱです。
またイオン中ではイオンの価数と酸化数の合計を一致させるようにするので、全体は-Ⅱです。
よって、硫酸中イオン中の硫黄の酸化数をxとすると
-2=x+4×(-2)
x=6
より硫酸イオン中の硫黄の酸化数は+Ⅵです。
例題
例題の解答
反応の前後で調べたい原子の酸化数が増加しているか、減少しているかを調べます。
(1) 反応前の硫黄の酸化数は、全体の酸化数の合計が0、水素の酸化数が+Ⅰであることから、
+Ⅱ
反応後の硫黄の酸化数は硫黄が単体なので0
反応前後で酸化数が減少しているので、硫黄は還元されているといえます。
(2) 反応前の亜鉛の酸化数は、単体なので0
反応後の亜鉛の酸化数は、全体の酸化数の合計が0で塩素の酸化数は-Ⅰなので、
亜鉛の酸化数は+Ⅱ
反応前後で酸化数が増加しているので、亜鉛は酸化されているといえます。
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